火星年代記 [ママ教師おすすめ本【中学生】]
ロケットが火星まで届くようになったアメリカ。
新たな開拓地を求めて、人々は火星へと旅立ちます。
火星探検隊、移住した人々、火星人、そしてなぜか無人になってしまった火星の街。
彼らのエピソードがオムニバスストーリーで綴られる中で、なぜなのか、繰り返し訪れるもの哀しさ。
前進あるのみ、と邁進する火星探検隊や市民のフロンティアスピリッツ。アメリカをアメリカたらしめたそれは、希望にあふれているにも関わらず、何かを置き去りにしており・・・・・・やがて火星に降り立った人々は過去を振り返り、決してあけるつもりのなかった箱をあけてしまうのです。
文明の進歩(と思われるもの)は、科学の発達は、何のためなのか。
進歩すれば、発達すれば私たちも幸せになれるのではないかという幻想は、思ったよりも強い誘惑だったりする。
だけどわたしたちは、それらが決して私たちの幸せとイコールだとは単純に思えないのだと気づき始めている。
そんなことを、つい考えてしまう話なのです。
中学当時、リリカルな言葉の連続に、うっとりしながら読んでいたけれど、何度も読むうちにSFという架空の、しかし現代の延長線上にある世界を舞台にした作品の持つ「文明を、人間を考える」パワーに、改めて気づかされたのでし。
SFはただロケットが出てきてどきどきする空想の世界じゃない、それはほんのとっかかりなんだと。
ぜひ、社会にも疑問を持ち始める思春期に、こういう話を読んでもらえたらと。
14でこの作品に出会えた自分は、幸運だったと自信をもっていえますもん。
授業では3年生に紹介しています。
★ブラッドベリの作品は、幸いにも学生時代に大学の英語の時間に原文で読む機会を得ました。英語でもきれいなんだよねえ、文が・・・・・。
高校程度の英語力で読めますので、チャレンジしてもいいかも。
でもこの文庫の翻訳も、素敵。他の翻訳が物足りなくなるくらいです。ワタシにとって、初めての大人向け翻訳作品『火星年代記』は、翻訳文学の文章の基準になりました。きっと、これもラッキー。
- こここここんなモノが!!!!
- 実は映像化されていたんです。ワタシもちょこっとだけ観た事あります。
- でもDVDになってるとわ!!
この装丁、数年前まで書店で見た新装丁。
ワタシが持ってるぼろぼろの文庫本は、やっぱり古めかしい。
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