穴 [ママ教師おすすめ本【中学生】]
すべての分かれ道が運命を紡いでいく
人間というのは、実に都合のいい生き物で。
自分が不幸だったり、不運だったりするすると、大抵の場合「何かのせい」にして自分を慰めることができる機能を持っているからです。
(「慰める」にとどまらず、責任転嫁してそれを周知させようとすると厄介このうえないんですけど・・・・・)
無実の罪で有罪、更生キャンプに入れられちゃった少年。
ふつー、騒ぐだろ??という状況を、仕方ないじゃん、とあくまで前向きにとらえちゃう少年があっぱれなのです。
決して、ぐれることなく淡々と日々を過ごし、従容として目の前の出来事を受け入れていくうちに、彼の運命は、彼の預かり知らぬところで、じわじわと変化していくのね~。
読者にだけ、この変化がじわじわとわかってくるという快感!
ジグゾーパズルのピースが、少しずつはまっていって、あるところから急に勢いづいて完成が見えてくる高揚感!
いたるところに張られた伏線が、見事に全部つながるんです。
ちょっとしたミステリーですよ。これ。
タイトルも、深い。
この他のタイトルは、つけらんないくらいです。
若者だけに読ませておくのはもったいないって!
バッテリー [ママ教師おすすめ本【中学生】]
バッテリー(全6巻)
- 作者: あさの あつこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
中学生から、わりと評判のよい本です。
装丁がライトノベルっぽいところもあって、とっつきやすいのかも。
田舎町の中学に転校してきた巧、中学1年生。
こいつの生意気さ加減が、半端じゃないから面白い。
投げる球が速い。練習をサボったりしない。投球ミスがない。
だから、ちんたら練習する先輩が許せない。
顧問の威圧的な態度も納得いかない。
下手な奴には用がない。
そんなツンツンしてて、とげとげしい彼が、キャッチャー、豪とバッテリーを組むところから、少しずつ人間の幅を広げていく様子が、描かれます。
(実際には中1で思春期迎えてる男子なんて、超少ないけどね)
人間的成長とか葛藤は、ヤングアダルト文学のお約束だと思うんだけど、『バッテリー』の主人公は、弱い子、普通の子じゃない。孤高の少年。
彼が、その強さの裏にある脆さに気づいていく様が、面白い。
大人が読むと、くすぐったくなるような思春期の香りというか臭いというか(ただし、決して甘酸っぱくないのが『バッテリー』・・・ホントに色気ないっすよ。野郎ばっか!)・・・そんなものが前編に盛りだくさん。巻が進んでいくごとに、思春期野郎も増えて、ますます面白い。
(海音寺くんの 真面目なお坊ちゃまぶりが好き)
中学生にも、ぜひ1~6まで通して読んでほしいなあ。
野球がわからなくても、ピッチャーとキャッチャーが何なのかさえわかれば、まずは大丈夫。ただし、思春期を迎えた方が読むように。
真面目な成績の良いアナタ、優秀なのに友達少ないアナタ、
スポーツ命の練習好きのアナタ、オレ様意外はみんなバカと思っているアナタ。そういう中学生、読みなされ。同時期に読んでた『ダレンシャン』より100倍面白いから。
映画にもなるみたいですね。どんな子が演じるのかしら。
こんなんもあった。【角川書店の『バッテリー』サイト】
【あさのあつこインタビュー 本よみうり堂】
ものづくりに生きる [ママ教師おすすめ本【中学生】]
従業員=家族
工場=住居の1階
そんな小さな町工場が、実は世界レベルの技術を誇る工業製品を開発、製作している・・・・国内外の大企業が、間口2~3間の小さな工場に、部品の開発の相談に来るんです・・・・かっこいいじゃない!!
この本は、中1の教科書教材の筆者が、中学生向けに書いた本です。
工場主たちが、自分の工場自慢の技術や作品を語ります。
実をいうと、私はこの本に語られている町工場の群れている地域で生まれたんです。毎日、プロテクターを片手に火花を散らして溶接しているおじさんたちを見ながら通学していました。金属やゴムのにおいが漂う町。クラスメートも多くがこういった工場の2階を住まいにしていました。なんだか、個人的思い入れのある本ではありますが・・・・・・^^;)
日本を支えてきたのは、無数の小さな工場のおじさんとその家族の、ものづくりに対する心と、そのゆるぎない技術。なんで、そんなことできるの!?ってな技のオンパレードをぜひ味わってください。
小手先のテクニックや、付け焼刃の知識で、なんだか一人前になったような錯覚ばかりしてしまう現代・・・・へらへらした生徒が「デイトレーダーっていいよね」とか聞いてると「けっ」って思っちゃう。
本当にスゴイものはやはり労せずして手にいれられるものではないのだ、と、職人魂、ばんざ~い。
オトナ向けには、こちらもどうぞ。
ロケット・ボーイズ [ママ教師おすすめ本【中学生】]
- 作者: ホーマー・ジュニア ヒッカム
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2000/02
- メディア: 単行本
NASAで働いてる人って、こういう人たちなのかあと思うと、うれしくなる。
決して豊かではない炭鉱町。町全体が貧しく沈鬱な空気に包まれている中で、いつしか少年たちの夢だけは、大人にも輝いて見え始めます。大勢の人の批判をうけ、温かいまなざしも受けながら、やがて彼らは夢への第一歩を踏み出していくのです。
夢が見つからないと、焦っている人、
夢はあるけど、一歩が踏み出せない人、
誰にもわかってもらえない夢のある人、そんな中学生におすすめ。
読書の習慣はなくても、読むのが嫌いじゃなければ一気に読めます。
4TEEN [ママ教師おすすめ本【中学生】]
14歳は、果たして子供なのか、大人なのか?
180cm、100kgの巨漢、ダイ、難病ウェルナー症候群のナオト、勉強が得意なジュン、かっこいいことを言ってもどこかいけてない、テツロー。
大人には見えないところで、中学生の青春はいろいろあるんだよね。彼らにとって、駆け抜けるような1年間が過ぎてゆく。
命の限りが見えるって、どんな感じ?
女の子と付き合うのって、どんな感じ?
友達を大事にするって、どんな感じ?
一つ一つの出来事を、4人は一生懸命考える。
自分のことも、他人のことも。
ケータイメールのみで繋がった、頻繁だけど密とはいえない友人関係が多いような気のする現代、読んだらうらやましくなってしまうかも。
【読書感想文にするなら】
思春期を迎えた人、が読みましょう。
まだの人はもう少し待ちなされ。
DIVE!! [ママ教師おすすめ本【中学生】]
夏のイライラ、青春のモヤモヤ、誰だって迷う。
「おれたちの生活って、いつもなんか採点されたり減点されたりの繰り返しなんだ。いろんなところにジャッジがいてさ、こうすればいい人生が送れるみたいな模範演技があって、うまく言えないけど、おれ、そういうのを飛び込みで越えたくて・・・」(本文より)
マイナーなスポーツ「飛び込み」でオリンピックを目指す少年たちの物語。
わたしは好きですねえ、こういう若者。
自分の才能とか、限界とか、身近なところで進路とか。そういう逃げちゃいたい現実を抱えてる、ごく普通の若者、読んでみなされ。
上下巻だけど、一気に読めます。夏だもん。
大きなプールを想像して!
【感想文には書けない邪道読み】
登場人物を、一人ひとりアイドルの顔にあてはめて読むと、楽しさひとしお