月の影 影の海 [乱読本棚]
月の影 影の海〈上〉 十二国記 講談社X文庫―ホワイトハート
- 作者: 小野 不由美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/06
- メディア: 文庫
「いまさら」読んで、一気に読んでしまいました。
作者の本で最初に読んだのが『東亰異聞』という一般書籍だったし、『屍鬼』なんかも文庫のコーナーで「怖そ~~~」ってな気分で眺めていたので、アニメでやってた「十二国記」とまるで結びついていませんでした。だけど、男子生徒も「面白い」というので気にはなっていたんです・・・。
成長譚です。主人公は女子高生です。いや、話の中ではすでに「元」女子高生。
私たちが暮らす、この世界とは軸の違うところに存在する世界。
中国っぽくて、日本の昔の世界みたいで、文字も同じようで、ちょっと違う。
違和感を集大成したような世界。十二国。
読者も、既成のイメージをそのまま使えるようで、使えない、一筋縄ではいかない世界観がたまんないです。
シリーズで、どんどん続いてるので、大人買いの一気読みでgogoですよ。
(でも、シリーズ全部読んだのに、全体として未完・・・・落ち着かない~~~!!)
ライトノベル装丁の本は、ちょっと躊躇する・・・という大人にも「これは”当たり”だから!」とおすすめしちゃいます。たぶん、作者の文章力がしっかりしているからだと思います。
あ、中学生にも強力におすすめ。(感想文も書ける。これなら!)
夜のピクニック [乱読本棚]
闇の守り人 [乱読本棚]
精霊の守り人 [乱読本棚]
- 作者: 二木 真希子, 上橋 菜穂子
- 出版社/メーカー: 偕成社
「精霊」って出たとこで好き嫌いが二分されそうではありますが。
主人公が30歳すぎの女性というあたりが、ただの少年少女向けの話でなくて、「自分探し」中の大人、肩肘張って生きている大人にもちょっとだけ、チクチクささるかも。いや、大人のための話、だよな。
用心棒を生業とする、短槍の達人バルサ。彼女は腕を買われて、陰謀の渦中の第二皇子チャグムを守ることに。ところが、皇子は、彼を亡き者にしようとする王の刺客からだけでなく、彼に”産み付けられた”卵を狙う、異世界の生き物からも、狙われていた。
自分の運命をののしらずにはいられない皇子チャグムは、折しも思春期。葛藤しながら自分の運命と使命を縒り合わせていく。
淡々と彼にサバイバルを教え、黙々と強敵を倒していく、ハードボイルドな匂いぷんぷんのバルサもまた、チャグムの中に、運命に抗うべく戦い続けていた自分の姿をみる。そして、彼女も変わりはじめる。
雨がやんだら [乱読本棚]
台風が次々にやってきますね。雨が降り続けると気分もローになっちゃいます。でも、気分だけならまだいいのかも・・・・。
この本は、雨が二日も降り続くと必ず思い出します。授業のついでに生徒にも紹介します。今年はすっかり忘れていたら、先日玄関先のサルビアの鉢に、あろうことか、キノコが生えており。(!!!!)
物体は、あるべからずところにある時、違和感を超えた恐怖を誘います。
鳥肌とともに、思い出したその本の名は、
- 作者: 椎名 誠
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/11
- メディア: 文庫
その様子を、少女が日記に書いていくのです。
友達に会えない。身近な人がいなくなる。優しい人が怖くなる。
無邪気な少女の言葉を透かして、見えてくる、浸み込む雨。
もしかして、今日の雨は永遠にやまないのかもしれない。
ぞくぞくする短編であります。
に、してもウチの鉢植えなぜキノコ!?ふつーなの!?
(あ、575)
※この記事は「暇刊女教師」に書いたものの再掲したものを編集しました。
絶対涼しくなれる本2冊 [乱読本棚]
うっかり冬に読んでしまったんです。凍ります。
これは夏にこそ読むべきなのだな。新田次郎。
ワタシが中学生のとき、富士山測候所の話は英語の教科書教材になっていました。真冬の富士山。こう書いただけでも、なにやら冷たい雰囲気になってくるではありませんか。吹雪をものともせず、厳冬の富士山頂に測候所を築き、観測を試みた夫婦の話です。
感動もさることながら・・・・・ぶるぶるっ。
- 作者: 新田 次郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1980/12
- メディア: 文庫
- こちらは、ひたひたと近づいてくる寒さ。
小学校の遠足登山(とはいっても戦前)で、集団遭難。 - 遭難する前から、押し寄せてくる嫌な予感の連続攻撃で、寒いことこのうえなしです。子供がたくさん遭難しちゃうので、涙もろい人はご用心を。
- 題名だけだと、すばらしい教師の話のようなんだけど、それは個人、一場面のレベル。遭難しないように準備することがもっとあったんじゃないの?と突っ込みどころも満載なお話。
そんなに数読んでないんですが、山岳小説は夏に読むのがいいのかな。
寒くなれる山岳小説あれば教えてください。
よく覚えてないのですが『八甲田山死の彷徨』も、かなり寒かった記憶があります。これもまた、新田次郎。